物件を見つけて、用途地域も問題なさそうだと思っても、もう一段階確認しておくべきものがあります。それが「地区計画」です。
用途地域は都市計画法に基づく大きな枠組みのルールですが、地区計画は、それに加えて自治体・地区ごとにさらに細かく上乗せされる建築ルールです。用途地域上は建てられるはずの建物でも、地区計画によって個別に制限されているケースがあります。
グループホームは「共同住宅」か「寄宿舎」に分類される
建築基準法上、グループホームには独立した用途区分がありません。実務上は、間取りや設備の状況から判断して、「共同住宅」または「寄宿舎」のいずれかとして扱われます。
- 各居室に水回り等の設備がある程度独立している → 共同住宅に近い扱い
- 水回りを共用し、生活支援サービスの比重が大きい → 寄宿舎に近い扱い
つまり、地区計画で「共同住宅」や「寄宿舎」の建築が制限されているエリアでは、グループホームも建てられない(あるいは既存建物を転用できない)可能性があるということです。ここが今回一番お伝えしたいポイントです。
実際の地区計画の例で見てみる
千葉県印西市のある地区整備計画書を例に、実際の制限のされ方を見てみましょう。この地区は「住宅地区A」「住宅地区B」「沿道利用地区」の3つに分かれており、それぞれ建てられる建物の用途が個別に定められています。
住宅地区A(約4.5ha)の建築物の用途制限
次に掲げる建築物は建築してはならない、とされています。
- 長屋(住戸の数が2戸のものを除く)
- 建築基準法別表第2(い)項第3号に掲げる共同住宅(住戸の数が2戸のものを除く)、寄宿舎又は下宿
- 建築基準法別表第2(い)項第4号に掲げる学校(幼稚園は除く)
- 建築基準法別表第2(い)項第7号に掲げる公衆浴場
この地区の場合、共同住宅(住戸数2戸を除く)と寄宿舎が明確に建築禁止対象に含まれています。つまりこの住宅地区Aでは、共同住宅または寄宿舎に区分されるグループホームは、原則として建築・運営ができないことになります。
同じ地区整備計画書の中でも、「住宅地区B」や「沿道利用地区」では制限の内容が異なるケースもあります。同じ市内・同じ用途地域であっても、地区が変わればルールが変わるという点が、地区計画の分かりにくさであり、注意すべきポイントです。
確認の仕方
- 物件の住所をもとに、自治体の都市計画課・都市計画情報システム等で、地区計画の指定があるかどうかを確認する
- 地区計画がある場合、その「地区整備計画書」を取り寄せ、建築物等の用途制限の項目を確認する
- 「共同住宅」「寄宿舎」という文言が制限対象に含まれていないか確認する
- 不明な点があれば、自治体の窓口に直接問い合わせる(物件契約前がおすすめです)
※地区計画の有無は、不動産の広告情報だけでは分からないことがほとんどです。契約前に必ず自治体側で確認するステップを挟んでください。
まとめ
用途地域だけでなく、地区計画まで確認して初めて「この物件でグループホームが運営できるか」が分かります。特に「共同住宅」「寄宿舎」という言葉が制限対象に含まれていないかは、グループホーム運営を検討するうえで欠かせないチェックポイントです。
物件の地区計画の確認方法についても、ご相談いただければサポートいたします。
