「マンションの一室=サテライト型」は間違い? 制度要件を正しく解説

グループホームの立地・建物形態を検討する際によく出てくる「サテライト型住居」について、要件を整理して解説します。

サテライト型住居とは

サテライト型住居は、本体となる共同生活住居と密接に連携をとりながら、本体から離れた場所(アパート等)で、より一人暮らしに近い形で生活する住居です。将来的な一人暮らし・地域移行を見据えたステップとして位置づけられています。

「マンションの一室を借りて運営している=サテライト型」という理解は誤りです。サテライト型として扱われるには、以下のような制度上の要件を満たす必要があります。

サテライト型住居の主な要件

  • 本体住居からおおむね20分以内で移動できる距離にあること(通常の交通手段を利用した場合の目安)
  • サテライト型住居単独では人員配置基準を持たない。本体住居の人員基準に基づいて職員を配置し、利用者数も本体とサテライトを合算して計算する
  • 本体住居の従業員が、原則として1日1回以上訪問する(アセスメントや利用者の合意に基づき、訪問がない日があってもよいとされる)
  • 夜間支援を行う場合は、夜間支援体制加算の算定が可能。ただし夜間支援従事者が複数住居を兼務する場合、各住居まで10分以内で駆けつけられる距離であることが必要
  • 入居後おおむね3年以内に一般住宅等へ移行できるよう、関係機関と連携した計画的な支援を行うことが必要
  • 支援が不要になった後も、利用者が希望すればその物件に住み続けられるよう、契約名義を事業者から利用者本人に変更する等の配慮が求められる

設置数・定員の考え方

  • サテライト型住居の定員は1住居あたり1名のみ
  • 設置できる数は、本体住居1つにつき最大2か所まで。ただし本体住居の定員が4名以下の場合は、設置できるのは1か所まで
  • サテライト型住居の定員は、本体住居の定員には含まれない。ただし、事業所全体の定員には含める必要がある

この「本体には含まないが、事業所全体には含む」という点は、収支計算や定員設計の際に見落とされやすいポイントです。

運営者側から見たメリット・デメリット

メリット

  • 共同生活住居を新設せずに、利用者の受け皿を増やせる
  • 自立度の高い利用者のニーズ(プライバシーの確保等)に応えられる
  • 地域移行・一人暮らし移行の実績を作りやすく、事業所の専門性としてアピールできる

デメリット

  • 1日1回以上の訪問が必要で、職員の移動負担が発生する
  • 3年以内の移行支援という前提があるため、長期入居を想定した運営には向かない
  • 夜間支援体制を敷く場合、駆けつけ時間の制約(10分以内)から設置場所が限定される

こぼれ話:同じ家賃なら、ワンルームの方が選ばれやすい

サテライト型住居の物件選びで実務上よく聞かれる話ですが、家賃が同程度であれば、2DKや2Kのような部屋数の多い間取りよりも、ワンルームの方が利用者からのニーズが高い傾向があります。たとえワンルームタイプの方が家賃が多少高くても、選ばれやすいケースが少なくありません。

理由として、部屋数が多いと片付けが苦手な方には負担になりやすいこと、ワンルームの方が生活動線がシンプルで一人での生活に不安を感じにくいことが挙げられます。サテライト型住居は、より一人暮らしに近い生活を送るための住まいです。「広い方が良いだろう」という思い込みで2DK・2Kを優先するのではなく、まずはワンルーム物件から探してみることをおすすめします。

とはいえ、ワンルームタイプは物件自体が見つけにくいという現実もあります。1つのアパートで確保できるのはせいぜい2部屋程度までというケースも多く、まとまった部屋数を確保できなければ、本体住居として夜間支援員を配置するには採算が合いません。その場合は、本体住居の入居者が4名以上おり、かつ移動距離などの要件を満たすのであれば、むしろサテライト型住居にする方が採算の目処が立ちやすいでしょう。

アパートタイプでの運営には、①利用者ニーズが高いこと、②総家賃を利用者数で割ることができるため、結果的に利用者負担を大きく抑えられることという2つのメリットがあり、これが大きな強みになります。

他に選ばれやすい間取り、設定、見落としがちなポイントを知りたい方は、ご相談ください。

立地・建物形態全体の考え方については、立地編もあわせてご覧ください。

サテライト型住居の活用を含めた事業計画のご相談も承っています。

行政書士 マキノ事務所をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む