同じ「定員5名のグループホームを開設する」という計画でも、エリアによって家賃相場は大きく異なります。ここでは、東京都郊外・千葉県都市部・印西市の3エリアを例に、5LDK相当の戸建てを借りる場合の家賃感を比較します。
※以下は一般的な賃貸市場の相場観をもとにした目安であり、特定の統計調査に基づく数値ではありません。実際の物件費用は、時期・立地・物件の状態によって大きく変動するため、検討時には最新の賃貸情報サイト等で個別に確認してください。
エリア別・5LDK相当の家賃目安
- 東京都郊外(多摩地域等):月15万〜25万円程度
- 千葉県都市部(船橋・柏等):月12万〜18万円程度
- 千葉県印西市:月9万〜14万円程度
都心に近づくほど、また同じ千葉県内でも都市部に近づくほど、家賃は上がる傾向にあります。
なぜ「東京都は利用者負担がキツい」のか
グループホームの家賃には、国の制度として「特定障害者特別給付費」という家賃助成があります。ポイントは、この助成額の上限が全国一律であり、エリアごとの家賃水準の高さに連動しないということです。
つまり、家賃が高いエリアで運営するほど、助成でカバーしきれない差額分を利用者本人が負担することになります。東京都郊外で家賃25万円の物件を使う場合と、印西市で家賃10万円の物件を使う場合とでは、助成額が同じであっても、利用者の自己負担額には大きな差が生まれます。
事業者側から見ると、都心に近いほど利用希望者は集まりやすい一方、利用者の負担能力によっては入居のハードルが上がるという二面性があります。想定する利用者像(年金収入のみか、就労収入があるか等)と、立地の家賃水準を合わせて検討することが重要です。
5名定員での収支イメージ
家賃が収支に与える影響は、立地によって次のように変わってきます。
- 東京都郊外:家賃負担は重いが、利用者確保のしやすさ・人材採用のしやすさで有利
- 千葉県都市部:家賃・利用者確保のバランスが取りやすい中間的な立地
- 印西市のような郊外エリア:家賃負担は軽いが、送迎コスト・採用の難しさを見込む必要がある
立地パターンごとのメリット・デメリットの詳細は立地編をご覧ください。
同じ印西市内でも路線でギャップがある
印西市は一つの市内に性格の異なる2つの路線が通っており、この違いを知らずに開所エリア(進出エリア)を選定する段階でつまずくケースが少なくありません。特に、地区計画の確認を後回しにしたまま計画を進めてしまうと、着手した直後に頓挫するリスクが高いポイントです。
- 成田線沿線:本数は30分に1本程度と少なめですが、地区計画による制限がないエリアが多く、既存のグループホームも実際にこちらの沿線に集中しています
- 北総線沿線(千葉ニュータウン中央駅周辺等の人気エリア):東京都心へ直通、船橋方面へのアクセスも良く、利用者・スタッフどちらからも人気が高いエリアです。ただし、最寄り駅から徒歩圏内は地区計画によって建築が禁止されているケースが極めて多く、実際にはこのエリアへの新規進出が難しいのが実情です
つまり、「利便性が高く人気のあるエリアほど、地区計画の制限に引っかかりやすい」というギャップが、この印西市の中だけでも起きています。既存施設の分布が成田線側に偏っているのも、この地区計画の制約が大きな要因の一つと考えられます。北総線沿線・特に駅徒歩圏内での進出を検討する場合は、地区計画編で解説した「共同住宅」「寄宿舎」の制限に該当していないか、物件を決める前の一番早い段階で確認してください。
エリアを選ぶ際は「駅からの距離」だけでなく、「その路線が持つ利便性と、地区計画の制限の有無」を必ずセットで、しかも進出エリアを決める最初の段階で確認することをおすすめします。
エリアごとの収支シミュレーションについても、具体的な物件情報をもとにしたご相談を承っています。
