昔から、仕事は段取りでだいたい決まると思っています。
障害福祉の入所施設で働いていた頃は、早番、日勤、遅番、夜勤と職員が入れ替わりながら、24時間の支援をつないでいました。
一時期、夜勤リーダーの役割をしていたことがあります。そこで考えるのは、自分が目の前の仕事をこなすことだけではありません。
- 誰をどのフロアに配置するか
- 遅番と夜勤をどう組ませるか
- 休憩をどの順番で回すか
- 夜勤から早番へ何を申し送るか
同じ人数が勤務していても、組み方一つで驚くほど静かに回る日もあれば、なぜか一日中バタバタする日もあります。
スペシャリストとジェネラリスト
職員にも、それぞれ得意不得意があります。
特定の利用者への支援に非常に強い職員もいれば、フロア全体を見ながら、人と仕事の流れを調整するのが得意な職員もいる。専門性を深めるスペシャリストも必要ですし、全体をつなぐジェネラリストも必要です。
私は、どちらかというと後者だったのだと思います。
何か一つを極めるというより、「この仕事の前に何が必要か」「終わったら誰に渡るのか」「誰かが休んだらどう回すのか」を考える方が性に合っていました。
行政書士も、案外「総務」の仕事に近い
行政書士になってからも、この感覚はあまり変わりません。
行政書士というと、許認可や書類作成をする専門家という印象が強いかもしれません。もちろん、それも仕事です。
ただ実際には、制度を調べ、行政と話し、必要な資料をそろえ、期限を管理し、関係する人たちの間をつなぐ。企業でいえば、総務や法務に近い動きもかなりあります。
結局ここでも、段取りです。
福祉現場では、段取りそのものが支援になる
「段取り」というと、効率よく仕事を片付けるためのテクニックのように聞こえます。
でも福祉の現場では、それだけではありません。
申し送りが一つ抜ければ、次の職員は知らないまま支援に入ります。休憩を適当に回せば、必要な時間帯に必要な職員がいなくなる。書類の置き場所が決まっていなければ、「誰かが知っているはずの情報」を全員で探すことになります。
そうなると、職員は余裕を失います。余裕を失えば、利用者への声のかけ方も、気づけることも変わってきます。
だから、「良い支援をしよう」と言う前に、まず職員が落ち着いて仕事のできる環境を作る。そのための段取りを整えることも、支援の一部だと思っています。
人の能力より、仕組みを疑う
現場がうまく回らないとき、「あの職員は仕事が遅い」「気が利かない」と、人の能力の問題にしたくなることがあります。
もちろん、本当に技量の問題であることもあります。
でも、20年近く福祉の仕事をしてきて感じるのは、人を責める前に段取りを疑った方がいい場面が案外多いということです。
- その人が必要な情報を最初から持てていたか
- 仕事の順番は決まっていたか
- 誰が判断するのか明確だったか
- 申し送りの経路が途切れていなかったか
ここを整えるだけで、同じ職員、同じ人数でも現場の動きが変わることがあります。
私はたぶん、昔からこういうことを考えるのが好きなのだと思います。
何をするかより、どうつなぐか。
少し面倒な性格かもしれませんが、今でも「仕事は段取りが9割」だと思っています。

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